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日本企業の人材の育て方は、これまでは一定期間での異動を繰り返すゼネラリスト志向が強かったですが、最近はそれも見直されつつありスペシャリストを育てるという発想が出てきています。
ボクも基本的には、専門性を高めることは重要だと考えているのですが、先日ショッキングな出来事があったので、そのことを踏まえてどのようなキャリアを目指すのがいいのか、考えてみます。
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スペシャリストに訪れた悲劇
世界的大企業のマレーシア工場の話です。業界最大手と言ってもいいくらいの一流メーカー(以下A社)の工場および研究所がマレーシアにあります。
超一流企業ですので、ここには、その国中からエリート技術者が集まってきています。
ボクはそのような一流技術者に日本の製品を売りに行っているわけですが、彼らは本当に優秀です。
地頭がいい+勉強している+ハングリー精神がある、という感じです。
そしてみんな若い!20代や30代ばかりで、DirectorやManagerクラスでも30代以下がほとんどです。
このようなエリートの人たちは将来も安泰だろうなー、と思っていましたが、先日ショッキングなことが判明しました。
この工場・研究所の他国への移転が発表されたのです。
この経営判断により、A社の優秀な技術者たちは、一夜にして働き場を失ってしまうことになりました。
このA社の業界は非常に専門的で、かつ世界的にもメーカー数が限られているため、同国内で同業他者に転職することは不可能です。
つまり、移転先の国で働くことができなければ、全く別の業界への転職をせざるを得ないということです。
専門性を高めてキャリアを積んできて、業界でも指折りの技術者になっていても、経営判断により、一夜にしてその専門性が活かせなくなってしまう、そのような恐い世の中なのです。
専門性を高めてきたが故に、仮に移転やリストラの兆候などが見えたとしても簡単には転職を決断できなかったことでしょう。
もちろん、彼らのような優秀な人材ですから、他業界の技術者としてやり直すことも可能だとは思いますが、それにしてももったいないですし、他業界でまたイチからというのは大変なことです。
その国の景気にもよりますが、最悪転職先が見つからないこともありえます。
変化の早い時代に対応するキャリアの選択
専門性を高めることはすばらしい、という考えが主流になりつつある昨今ですが、それもよく考え直してみる必要があるかもしれません。
というのも、最近は企業のグローバル化が進み、また一つの企業の寿命が短くなっている傾向があります。
つまり、企業あるいは工場がいつ自分の国から撤退してもおかしくない時代なのです。加えて、M&Aによっていきなり企業の経営主体が変わるリスクもあります(直近の例では、鴻海によるシャープ買収など)。
このような変化の前後で、いかに自分のキャリアを繋げられるか、その観点から考えると、専門性を高めるのとは別に、複数企業で活かせるスキル・経験を身につけておくことが大切ではないかと思います。
少なくとも自分の会社のみで役立つスキル、というのはまったく意味がありません。
そういう意味では、新卒で入社した企業にずっと勤め続けるのもリスクかなと思います。
他企業を知らないため、自分のスキルや経験が、転職市場でどれくらいの価値があるのか測りかねるのです。
もちろん転職すること自体にもリスクは伴いますが、 自分の価値を客観視するという意味で、ボクは一度は転職を経験しておいたほうがいいなと思います。
労働市場の中での自分の価値、これを意識しながら自分の専門性を高めるのか、ゼネラリスト的スキルを身に着けていくのか、日々考えて行動する必要があると思います。
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