どーも、ちゃたです。
小倉昌男氏というのはヤマト運輸の元社長、『宅急便』の生みの親です。
この本は2つの意味で面白い一冊です。
ひとつは、今なにかと話題になっている宅急便サービスがどのように誕生して、どのように成長してきたのか、その歴史を追うことができること。
もうひとつは、小倉昌男という経営者の考え方・数々の経営判断を学ぶことができること。
初版は1999年と古いのですが、今読んでもまったく違和感のない、本質を突いた鋭い経営理念を知ることができます。
ビジネスマン必読の書です!
目次
小倉昌男 経営学 の概要
「儲からない」といわれた個人宅配の市場を切り開き、「宅急便」によって人々の生活の常識を変えた男、小倉昌男。
本書は、ヤマト運輸の元社長である小倉が書き下ろした、経営のケーススタディーです。
臨場感のある宅急便の成長過程のストーリーにぐいぐい引き込まれていく一方、普遍的な経営に関するノウハウを学ぶことができます。
・元々は、イチ中堅運送会社として企業間のトラック配送のみをやっていたヤマト運輸が、どのようにして宅急便というサービスを立ち上げ、全国ネットワークを築き上げていったのか
・個人宅配という儲からないと思われていた事業において、どのような壁にぶつかり、どのように乗り越えていったのか
・爆発的に増える従業員をどのようにまとめあげていったのか、どのような人事制度を用いたのか
・優秀な経営者はどのようなことが求められるのか
・ヤマト運輸のセールスドライバーはなぜ感じがいいのか
小倉昌男 経営学 の面白いポイント
宅急便のドライバーは、単なる運転手ではなくセールスドライバーである
小倉昌男氏は、宅急便のドライバーは単なる運転手ではなく、セールスマンであるべきだと考えました。
みなさん感じていると思いますが、ヤマト運輸の宅急便ってめちゃくちゃサービスが良くって、ドライバーの人も感じのいい人がとても多いです。
この理念が脈々と受け継がれて、いまの宅急便のサービスレベルが保たれているのだなーと実感しました。
『サービスが先、利益は後』
言うのは簡単だけど、やり続けることは難しい『サービスが先、利益は後』。
株主や従業員から色々と言われ続けながらも、自分の信じたサービスを築き上げることを最優先にして続けること。
目先の利益を追いかけなかった結果、現在のヤマト宅急便の絶対的なサービス優位性が生まれたのだと思います。
『安全第一、営業第二』
事故を減らすために『安全第一』のスローガンはよく見かけますが、これでは不十分だったんです。
第一を重要視するためには、第二を明確にしないといけないという考えで、営業(配送効率)は第二でいいということを明文化したというところが面白いです。
『安全第一』とだけ言っていると単なる掛け声化してしまって、あまり本質を考えなくなってしまいます。
ここに『営業第二』が加わることで、本当に何を優先すべきか、とても明確になります。
面白い視点ですよね。
年功序列の習慣は大きな害毒をもたらす
現在では多くの人が気づいていますが、年功序列の欠点を30年前から言っていた小倉氏は先見の明があるというか、本質を鋭く見抜いていたというか、素晴らしい経営者です。
小倉氏は日本企業としてはいち早く実力主義を取り入れ、「下からの評価」や「横からの評価」というユニークな評価方法も行いました。
このような人事制度により、弾力性のある組織が保たれているのかと想像しました。
最後に
名著と言われている『小倉昌男 経営学』。
これまでなんとなくタイミングを逃して読んでいませんでしたが、読んでおいてよかったと思える一冊です。
経営者の方にはもちろん、イチ従業員の方にも非常に参考になることが書かれています。
これを読まずして今の宅急便クライシスを語ることなかれ!