賃貸か持ち家か、
人生においてとても重要な選択なのに、色々な論争はありますが、この質問にきちんと答えてくれる人はなかなかいません。
いや実際には、答えてくれる諸先輩方はたくさんいるのですが、旧世代の方々の意見は残念ながらまったく参考になりません。
ボクは30代で子供を1人もつ、ごくごく一般的なサラリーマンです。不動産業界に関わりはありません。
周りにこの質問について適切な答えを教えてくれる人が周りにいないので、ボクなりに色々調べて、導き出した結論をまとめてみます。
目次
どっちがお得か、いきなり結論
いきなり結論を書いてしまいます。
賃貸と持ち家のどっちがお得か、
つまり経済的な比較だけをしてしまえばどっちもどっち、
どちらも得でもないし損でもありません。
なぜなら、どっちかが極端にお得であるとすると、そのお得な方を人々が選択し、結果そっちのコストが上がり、両者のコストが均衡していくはずだからです。
もちろん、個々の事情や条件によりどっちかがお得ということはありえますが、一般的に比較した場合、『どちらも同じ』という結論です。
それじゃー何を考えて、この超重要な人生の選択をすればいいのでしょうか。
「家賃を払うのはもったいないから、家は買うべき」という説
『家賃を払い続けるのはもったいない』
『家を買えば自分たちの資産になるから、住宅ローンを払って購入したほうがお得』
もっともらしい理論ですが、果たして本当にそうなんでしょうか?
ボクはそうは考えていません。
今どき35年の住宅ローンとか、ちょっと無理があります。
まず、持ち家、マイホームを購入するということについて考えてみます。
マイホームとしては、大きく2つの選択肢があります。
マンションか一戸建てか、です。
この2つのケースでは大きく事情が異なるので、まずはマンションについて考えてみましょう。
マンション購入のリスク
湾岸エリアのタワマンは絶対買うな ー立地を冷静に考え直してみよう
湾岸エリアのタワーマンションが大人気です。
豊洲だとか勝どきだとか、よくわかりませんが異常な人気です。
なんでみんなあんな場所に住みたいと思うのでしょうか?
とボクは不思議に思います。
なぜなら、土地の歴史的に、決していいエリアとはいえないからです。
土地には歴史があります。
都心にアクセスがいい割には土地が安い、というのには必ず理由があります。
地盤がイマイチだったり、低地で水害が多かったり、などなど。
湾岸部なんていってみれば全て埋立地。元々は海です。
きちんと埋め立てしているといっても、しょせんは海だったエリアで、地盤としての安定性はイマイチです。
大地震による津波の被害や液状化のリスクがあります。
東北大震災のときでさえ、震源から遠いのに、千葉県の浦安などで液状化現象の被害がありました。
そんな不安定なエリアに、これから先何十年も住みたいと思えるのが不思議です。
築年数がたったマンションの行く末
あなたの周りにある築30年、40年のマンションを思い出してみて下さい。
正直、どれも古臭くて、今から住みたいとは思わないですよね。
これが住宅ローンを支払った後に残る、今の新築マンションの将来の姿です。
もちろん、30年前の新築マンションと今現在の新築マンションでは、デザインも耐震性も色々と異なります。
でも、30年前に新築マンションを購入した人も、今の我々と同じく新築マンションでの夢の生活を描いて入居したはずです。
もちろん、同じ築30年のマンションでも、管理状態によってその印象は大きく変わります。
管理状態がいい=管理費や修繕積立金がしっかり管理されている
と考えられます。
このようなマンションの場合、住み続けることにも抵抗がないですし、売る場合にも高値で買い手がつきやすいです。
管理状態が悪くボロボロのマンションの場合、そもそも住むことが嫌になってくるし、売却すること自体が難しくなることもあります。
その場合、ボロボロのマンションに住み続けるか、引っ越したとしても管理費・修繕積立金を延々と払い続ける羽目になるのです。
ちなみに、古くなった際の建て替えなんかも、期待しないほうがいいです。
建て替えには、区分所有者の4/5以上の賛成が必要です。
古いマンションで建て替えができた例というのはごく一部で、ほとんどのマンションの場合、居住者の意見がまとまらず、建て替えは困難です。
マンション購入は見送るべき
分譲マンションについて、ボクなりの考えを書きましたが、一生過ごすマイホームとしてのマンション購入はリスクが高すぎて手が出せません。
一戸建ては資産になるから買うべき?
それでは一戸建てはどうか、考えてみます。
ホントに資産価値があるのか?
『マイホームは資産になるから』
と聞きますが実際の事情はどうなのか?
住宅ローンを払い終えた30年後に資産価値が残っているのか、
答えとしては、『その家の場所次第』です。
最悪、買い手がつかないです。
郊外のアクセスの悪い場所、たとえば都心から電車で1時間半といったエリアでは、すでにその傾向が出始めています。
なぜ売れないのか、答えは単純です。
郊外に住みたいという人が激減しているからです。
その理由はおもに2つあります。
ひとつは共働き世帯の増加、もうひとつは人口減少です。
今の時代、昔と違って共働きでないと子育てができません。
奥さんも都心に勤務しながら、保育園の送り迎えをしたりする場合、通勤に1時間半も2時間もかけていられません。
もう一つの人口減少ですが、これから先の日本は人口が減る一方です。
都心の人口は増えるかもしれませんが、郊外の人口はどんどん減っていきます。
需要が低くなれば、土地の価格は下がります。
アクセスの悪いエリアほど土地代が下がり、下手すれば買い手がつかなくなるんです。
住宅ローンさえ払い終われば自分のもの?
『住宅ローンを払い終えれば自分のものになるから』
というのはその通りなのですが、だからといって一切お金がかからないわけではありません。
維持管理費と税金が必要で、その費用が馬鹿になりません。
具体的には、固定資産税や都市計画税などです。
ちょっとした一戸建てだと年間15万円くらいというイメージです。
それにプラスして、一戸建てというのは修繕費も必要になってきます。
住宅ローンの異常さ
住宅ローンについてもひとこと。
ちまたでは、30年や35年の住宅ローンがごく一般的に受け入れられています。
でもちょっと待って下さい。
冷静に考えて、35年ローンとか正気の沙汰ではないでしょう。
30歳のときに35年ローンを組んだら、65歳まで支払い続けるんです。
収入も土地の価格も右肩上がりだった、高度経済成長の時代であれば問題ない仕組みでしたが、今の時代にはまったく適していません。
65歳まで安定的に、現在と同程度の収入を得続けるって、実は超難しいです。
どんな大手企業でも、20年や30年スパンでみたらどうなるかわかりません(東電しかり、東芝しかり)。
ましてや、これからの時代、年功序列が崩れていきます。
今から40代、50代となっていく我々が、年齢とともに順調に給料が増えていく保証は一切ありません。
そんな時代に、35年ローンって。。。
自殺行為です。
ずっと賃貸は可能なのか?
賃貸物件はこれから増える
賃貸物件はファミリー向けの選択肢が少ない、そう思われています。
でもこの賃貸物件事情が、今後数年で大きく変わる可能性があります。
その理由は次の3つです。
1) 地主の高齢化、相続税
日本は超高齢化社会に突入しつつあります。
それに伴い、高齢の地主も増えてきており、その相続について考え始めています。
相続税をなんとか減らす対策として、賃貸アパート建設という選択が増えてきています。
さらに、相続税を支払う場合の『基礎控除額の減額』がされることで、この動きが加速しています。
2) 低金利
低金利であることは賃貸アパート建設の際に組むローンにおいても有利に働きます。
3) 生産緑地法の「指定解除」
1972年に交付、1991年に改正された生産緑地法という法律があります。
生産緑地法の詳しい内容はググって下さい。
これにより指定された生産緑地とよばれる農地が大都市圏にはたくさんあります。
これら生産緑地の多くが、2022年に30年の期限を迎え、その後は宅地並みの課税がされることになります。
『2022年問題』と呼ばれています。
これを機に、大量の生産緑地が不動産マーケットに流れ込み、賃貸アパートや一戸建て建設に拍車がかかります。
結局どうすべきか
賃貸がオススメ
今20代や30代の一般的なサラリーマンの方には、断然賃貸をオススメします。
その理由としては、次の通り。
・長期の住宅ローンは自己破産リスクが高い
・勤務地や勤務先が変わった場合に柔軟に対応できる
・家族の形態(ライフステージ)にあわせて、最適の広さの家を選択できる(無駄がない)
・30年後に資産価値が残るであろうエリアは限られている
・2022年以降、東京近郊の物件価格は下がるはず
リスクを最小限に抑えるためには、賃貸がベターな選択肢です。
また、今は昔のようにモノを所有する時代ではありません。
最小限の「持たない」暮らしを楽しむ、ミニマルなライフスタイルに賃貸はぴったりです。
次の条件が満たせれば購入もアリ
ただ例外的に、次の条件が満たせるのであれば、マイホーム購入もありかなーと思います。
・マンションではなく一戸建て
・一戸建てを購入するのであれば、アクセスの良いエリア
・30年以上の長期の住宅ローンは使わない
・住宅価格相場が下がるタイミングを待つ
・できれば中古がお買い得
以上、不動産業界しろうとのボクが一生懸命調べ上げて、導き出した結論です。
あくまでも素人意見ですが、これから人生の重大な選択を考えているみなさんの参考になればと思います。
それでは〜。